
墓じまいを検討してるけど、遺骨はどうしたらいいのかな?



最近よく聞く永代供養ってなんだろう?
こんな疑問やお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この記事では墓じまい後の遺骨の代表的な供養方法4つを、禅宗僧侶の資格を持つ私が解説します。
4つの供養方法それぞれの種類や特徴を知ったうえで、自分たちの希望に合った供養方法を選ぶことが大切です。
記事を読むことで、自分に合った後悔の少ない供養の形を選べるようになるでしょう。
墓じまい後の供養方法にお悩みの方はぜひご覧ください。
墓じまいとは遺骨を新しい供養先に移すこと


墓じまいとはお墓を撤去して遺骨を取り出し、新しい供養先に移すことです。
昨今の日本では核家族化で墓の継承も難しくなっています。
元気なうちに墓じまいをして、弔い方を自分で選びたいという人が増えてきました。
墓じまいと聞くとあまり良いイメージがないかもしれませんが、次のようなメリットがあります。
- お墓を継ぐ人がいなくても問題がない
- お墓を維持管理する負担が減る
- 無縁墓になる心配がなくなる
- 自宅近くに改葬すれば供養がしやすくなる
このように墓じまいすることによって、供養する場所を整えることができるのです。
墓じまい後の遺骨の供養方法4選


墓じまい後の遺骨は何かしらの形で供養する必要があります。
「お参りできる場所がほしい」、「海や山などの自然に還したい」、「身近なところに置いておきたい」などいろいろな希望があるでしょう。
代表的な供養方法は4つあります。
- 永代供養
- 散骨
- 手元供養
- 新しいお墓を建てる
注意してもらいたいのは「散骨」や「永代供養の合祀墓」では、一度行うと再び遺骨を取り出すことができません。
それぞれの特徴を知ったうえで、自分に合う方法を見つけましょう。
永代供養
永代供養とは霊園や寺院などの墓地管理者に、遺骨の管理や供養をすべて任せる方法です。
お墓の跡継ぎがいない方だけでなく、遺族や子孫に管理や費用の負担をかけたくないという理由で選ばれる方も多いでしょう。
永代供養にもいくつか種類があります。
- 個人や夫婦などの申し込み単位で遺骨の収納場所が区切られた「個別安置墓」
- 屋内で仏壇型やロッカー型などがある「納骨堂」
- 木を墓標代わりにする「樹木葬」
- 多くの人たちの遺骨と一緒に土へ埋葬される「合祀墓」
お墓の形式はさまざまですが、大きく分けると「個別で供養するタイプ」か「多くの人たちと一緒に供養されるタイプ」のどちらかです。
個別で供養する場合も一定の期間が過ぎた後は、多くの人たちの遺骨と一緒に土へ埋葬される合祀墓に埋葬されます。
合祀墓に入った後は取り出すことができないので注意しましょう。
個別で供養する期間は施設によってさまざまですが、納骨をしてから32年(年忌法要の33回忌)を区切りとしているところが多いです。
施設やお墓のタイプによって費用やプランも違うので、しっかりと確認したうえで希望に合うものを探しましょう。
散骨
散骨とは遺骨を細かく砕いた粉末状にし、海や山などに撒いて供養する方法です。
海で撒く海洋散骨が多いですが、大きな風船やヘリコプターなどで空に撒く方法もあります。
粉骨など個人で行うには作業の難易度が高いため、基本的には業者に依頼して行うのがよいでしょう。
散骨に遺族が同行して行うものや、立ち会わずに業者に任せるものなど方法はさまざまです。
現在日本では散骨に関する法律がないため、法的に許容されるか否かがはっきりと結論づけられません。
法律で明確に定義されてないため、散骨ができている状態なのです。
散骨は法律違反ではありませんが、条例で禁止している自治体もあるため注意しましょう。
手元供養
手元供養は自宅などで、遺骨の一部または全てを手元で保管する供養の方法です。
保管方法の明確な決まりはないので、自由な形で供養できます。
小さい骨壺で手元に置くことも、アクセサリーに入れて身につけることも可能です。
注意点としては遺骨を自身で管理できなくなった時に、どのように供養するか考えておく必要があるでしょう。
新しいお墓を建てる
お墓は継ぎたいが遠方にあってお参りができない場合は、墓じまいして自宅の近くにお墓を建てる方法もあります。
新しくお墓を建てる以外にも現在の墓石ごと引っ越す方法もありますが、墓石ごとの移転を禁止している墓地もあるため確認が必要です。
ほかの納骨先や供養方法と比べて費用が高くなりますが、手厚い供養ができるでしょう。
墓じまい後の遺骨を分けることもできる


お墓にある複数の遺骨は、移動先や供養の方法を1つにする必要はありません。
移動先や供養の方法を分けることもでき、これを分骨といいます。
思い入れのある故人の遺骨は、個別で供養したいと考える方もいるでしょう。
永代供養は基本的に1柱(1人)ごとの料金なので、すべての遺骨を残る形で供養するのはかなりの予算がかかります。
「永代供養と散骨」や、永代供養の中でも「納骨堂と合祀墓」などそれぞれの事情に合わせて供養の方法を選びましょう。
遺骨をそのまま処分することは法律で禁止されている


墓じまい後の遺骨の管理に困っても勝手に遺棄したり、ゴミとして処分したりすることは法律で禁止されています。
自宅の敷地内であっても勝手に埋葬することは禁止です。
墓じまい後の遺骨の扱いはルールを守って行いましょう。
墓じまい後の遺骨の移動方法3選


墓じまいした後は遺骨を改葬先へ移動させる必要があります。
主な移動方法は次の3つです。
・車や電車などで自分で運ぶ
・ゆうパックで郵送する
・NPO法人の納骨サービスを利用する
それぞれの移動方法を詳しく解説します。
車や電車などで自分で運ぶ
車で運ぶ場合は骨壺が割れないように注意する必要があります。
運転手以外の方が支えるなど、しっかり固定して気をつけながら運びましょう。
公共交通機関を利用する場合は、周囲の方に配慮することが大切です。
遺骨とわからないように専用バックなどに入れて運びましょう。
ゆうパックで郵送する
日本郵政のゆうパックでは遺骨を送ることができます。
送り先は国内ならどこでも可能です。
梱包するときは骨壺の蓋をテープで固定し、破損しないように緩衝材を使って保護します。
他の宅配業者では送ることができないので注意しましょう。
NPO法人の納骨サービスを利用する
NPO法人の納骨サービスでは、遺骨の移動から納骨までを補助してもらえます。
サービスによっては、郵送するための一式を準備してもらえるなどさまざまです。
依頼するNPO法人によってサポート内容や料金も異なるので、自分にあったサービスが見つかるかもしれません。
まとめ【故人やご先祖を敬う気持ちを忘れずに選びましょう】
今回は墓じまいした後の遺骨の供養方法について解説しました。
近ごろは少子高齢化や核家族化にともない、お墓の管理が難しくなり「墓じまい」という言葉をよく耳にします。
「墓じまいはあまり良くないのかな」と考える方もいるかも知れませんが、墓じまいは決して悪いことではありません。
お墓の管理が難しくなってもずっと変わらず供養していけるように、故人やご先祖様のことを大切に考えておこなわれることなのです。
供養方法によっては一度行うと再び遺骨を取り出すことができないため、親族でしっかり話し合ったうえで決めることが大切です。
故人やご先祖を敬う気持ちを忘れずに、自分たちの希望に合う方法を選びましょう。